こんにちは。ウチセカです。
今日は「小説を読むこと」について、
興味はあるけど読んでない方や小説読むなんて無駄じゃない?と思っている方に
重要ですよ、大切ですよ、あなたにとって有益ですよ、
ということをお伝えしたいと思います。
特にワタシのような内向型の人には読書はかなりの有益ということお伝えしたいです。
小説読むことへのネガティブイメージ。時間の無駄?

小説を読むことについて、ネガティブ派の意見ってこんな感じじゃないでしょうか?
- 「小説読むって時間もかかるし、現実じゃないし、無駄じゃない?」
- 「読みたいとは思ってるんだけど、読むの、面倒くさいしなぁ〜。」
- 「映画やAmazonPrime,Netflixもあるし、そっちでいいよね。」
- 「長い時間かけて読んだところで楽しんで終わり、それって無駄じゃない?」
・・・はい、どの意見も言いたいことは分かります。
でも、「そんなコトないです!」って全力でお伝えしたい、
イケてる「ビジネスパーソン」のビジネス書の読み方として、
自分にとって重要な部分、美味しい部分、気に入った部分だけ読めばで十分 元が取れる、
という話をよく聞きます。
一方、小説は そうもいきません。
最初から最後まで順番に読まないと分からないし、
途中の内容を忘れちゃったりすることもあってパラパラっとページを戻って読み直したり、
最後の1ページにたどり着くまでには相当な時間がかかります。(本によるけどだいたい10時間くらい?)
文章が自分に合う合わない、などもあって当たり外れがなくはないです。
こうした意見がネガティブ派の意見なんじゃないかな、って思います。
小説読むって難しい?敷居が高い?大丈夫、読めます!

次に小説を読むことに二の足を踏んでしまうポイントは下記かな、って思います。
- 読むのがめんどくさい
- 途中で内容を忘れちゃう、いちいち覚えられない
- 理解力がないから、分からない
このように難しいと思われたり、小説を読むのことがが高尚なエンタメという人もいらっしゃるようです。
でも、昔からそうですが、小説は映画にマンガ同様、大衆娯楽の一つです。
気楽に思ってほしいです。
では、それぞれのアンサーを。
読むのがめんどくさい → 大丈夫。読めば、アナタの脳は勝手にイメージします。
たとえ話のために、ワタシからアナタにお願いをします。
・・・・・・・・・・
「熊を想像しないでください。」
・・・・・・・・・・
熊をイメージしちゃいますよね?(笑)
それはもう自動的に。
明確な映像でなくても、全く気にしていなかった熊がアナタの脳をよぎったはずです。
「字面を追うから、想像しないで、ったって無理じゃん。」
はい、そうなんです。
「書いてあることを読む」という読書の根幹であるこの行為のせいで
文字を読めば、それなりにワタシ達の脳は勝手にイメージしてくれます。
ワタシ達の脳は、自分たちが思っている以上に優秀です。
途中で内容を忘れちゃう、いちいち覚えられない → 読み方は雑でもOK。気軽に何度も前のページめくって読み返しましょ。
まず、読み進める際、絶対に覚えておこう、と肩ひじ張らないでください。
面白みが落ちちゃいますから。
ワタシも結構途中で内容を忘れたり、登場人物のこの人って、誰だっけ?
なんてことはしょっちゅうです。
それでも楽しめています。
やっぱり人間なんで「完璧に読む」、なんてことは繰り返し読まない限り無理だと思います。
だから分からなくなった時は、何度も立ち止まって、前のページをパラパラめくり軽く見返しましょう。
何度もページに戻ったり振り返ることで、忘れてた部分が逆に繰り返しのせいで記憶していたりしてます。
ワタシ達の脳は、結構優秀です、意外にそこそこ覚えてますから。
理解力がないから分からない → ゆっくり読みましょう
書いてあることが分からん、なんてことも多々ありますが、
これもやっぱりよくあることなので、「そんなもんよねぇ〜」と思っていてほしいです。
加えて、眠かったり、体調が悪かったりすると当然ながら頭にはスッと入ってきません。
これは動画コンテンツも同様ですよね。そこそこコンディションが良くないと楽しめないのはあしからず。
後、自分の知らないコトがやたら書いてあるのは当然ながら理解に苦しみます。
作家さん、伴走する編集者さん達も、
ワタシ達読者側に分かりやすいように心を砕いてくれているのですが、やっぱり難しいコトもあります。
ただ、そんな時は、サラッと読んで理解せずとも次のページに進めることが吉、です。
後、見返してもいいし、言ってたことが後の展開でようやく理解できる、なんてこともあるからです。
大切なのは、理解しようと立ち止まらず、サラッと読み進めることをオススメします。
自由に、気軽に、サラッと。何度も戻っていいんですから。
なぜ人はコンテンツを求めるのか?それは、自分の心が動かしたい、感動したい、人として生きていることを味わいたいため

話が少し横道にソレます。
世の中には 芸術・アート、小説や映画に漫画に音楽、演劇にプロスポーツ、他にも多様で様々コンテンツがあります。
どうしてワタシ達はコンテンツを楽しみたいのでしょうか。
それは、コンテンツに触れすことで、自分の心を動かしたい、感動したい、そして自分は生きているんだと実感したいから、だとウチセカ的に思っています。
人は心・感情の生き物です。
心や感情が動かないのは、ちっとも楽しくありません。
勿論、悲しくも淋しくもありませんが、回り回って、心が動かないと、
何で自分は生きているんだろう?なんてネガティブに不幸せ感を抱いてしまいます。
話はソレましたが、コンテンツに触れることで感動を味わいたいのが前提にあります。
動画コンテンツを観る VS 小説を読む
どちらも楽しい 動画コンテンツを観ることと小説を読むこと。
動画の方がいいんじゃない、という世間の声が大きいかとは思うんですが、対比表にすると、結構小説の良さが分かると思います。
対比ポイント | 動画 | 小説 |
---|---|---|
とっつきやすさ | ◯:映像・音楽あり | ✕:字面ばかり |
みやすさ | ◯:スマホでパッと見れる | ✕:本ならば暗闇では無理 |
コンテンツの投影場所 | ◯:デバイス(スマホ・パッド、自分という肉体の外側) | ◎:脳内(自分という肉体の内側) |
臨場感 | △:大画面であればそこそこ | ◎:脳内なので疑似体験、登場人物の心を追体験 |
コンテンツ内容 | ◯:「人物達の行動の連鎖」を観る | ◎:「人物達の解釈・感情の連鎖」を味わう |
このように、小説も良いところいっぱいあるよ、ということを対比してみました。
(ちなみにだから動画がダメとかいう話ではありません。動画も大好きです。)
ただ、理解しづらい内容もあるぞ〜、というご意見もありますので、もう少し説明させてください。
小説は、コンテンツが投影されるのはアナタの脳内である、ということ
ウチセカ的に特にアナタにお伝えしたいのは、「コンテンツの投影場所」と「コンテンツ内容」についてです。
それは先にお話した、コンテンツに触れて心が動くことに影響しています。
コンテンツの投影場所というのは、コンテンツの映像がどこに投影・表現されているのか、です。
動画は、スマホやテレビ・映画館などでイメージが表現されています。
小説は、字面を読むことで、アナタの脳内にイメージが湧き上がります。
なぜ投影場所が大切なのか、もっというと自分の内側か否かが重要なのか、
それは臨場感を感じやすいか否かに直結するからです。
自分の内側=心なので、追体験した感覚になり、だから感動しやすいわけですね。
登場人物の行動の連鎖を観るのが動画、登場人物の解釈や感情を味わうのが小説
動画コンテンツは登場人物達が色んなドラマを展開しますが、あくまで彼・彼女らの行動・その行方を観ます。
彼らが何を考えてどう思っているのかは、役者さんの表情やしぐさをこちら側が観て想像しています。
一方、小説を読むコトは、登場人物達の心理が字面として現れています。
彼・彼女はどう考えてどう思っているのかを追体験しつつドラマは進みます。
彼らの喜怒哀楽、ハラハラ・ドキドキ、うまくいかないじれったさ、極上の喜びを
読者の私達も寄り添って一緒に心揺さぶられる感動・臨場体験ができる、
これが小説の一番の素晴らしさだと思っています。
そうしてワタシ達の心は色んなシチュエーションを体験でき、
心も豊かになっていきます。
読者に心地よい裏切りを与えてくれる大どんでん返し(2つの手法)

小説を読むのは本当に楽しいです。
楽しい一つの理由に「大どんでん返し」があります。
話の流れから大体こんな感じで終わるんだろうなぁ〜というふうに思ってたら
最後の最後で違うんかぁーいっ!!!
っていう見事な裏切りがもう最高。
シンプルに大どんでん返しもあれば、大どんでん返しからの大どんでん返し、みたいな作品もあり、世の中本当に良い作品がいっぱいあります。
この大どんでん返しのやり方にいくつか種類があるんですが今回は2つ、ご紹介。
- 叙述トリック
- 敢えて書かない・説明しない
叙述トリック
作品によりけりですが、基本的に小説は、誰かの視点・語りでものごとが描かれ、心情が描かれ、物語が進んでいきます。
その視点が主人公であったり、相棒や近い人物であったりします。
ミステリー小説などは、犯人側と警察・探偵側とで視点を交互に展開してスリリングになったり、
恋愛小説などは、両者の視点心情が交互に描かれることで、切なさだったりおくゆかしさだったりを演出しています。
おうした視点・語り手について、
読んでる中で誰なのかが明確なんですが、それを逆手に取って
大どんでん返しを仕掛ける技術が「叙述トリック」です。
一人称(私・僕)視点で物語が展開、読者はその人物はこの人だと、場面展開・状況から素直に思っていたら
実は、最後に違う人物でしたー!
というどんでん返し。
読み返せば確かに書かれていることは確かに間違いないのに、何でワタシは読み違えたの!?
うまく読者を誤解させるように誘導する書き方で物語が展開するのは本当にあっぱれ!
「叙述トリック」代表的な作品を2つ挙げますね。めちゃめちゃ面白いし、騙されちゃいますよ〜(笑)
注意!どちらも猟奇殺人犯の話で、グロさがあります。苦手な方はごめんなさい、ご遠慮くださいね。
■『殺戮に至る病』我孫子武丸 著
衝撃の結末に備えよ……華麗にして大胆な叙述トリックが生み出した「二度読みミステリ」の最高峰!
犯人は愛を語り、作家は真相を騙る……。
犯人は、永遠の愛を得たいと思った――東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラー。その名は、蒲生稔! くり返される凌辱の果ての惨殺。恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈にえぐり出す。そして、読者の心臓を鷲掴みにする、衝撃の結末……叙述トリックミステリの最高到達点!(出版元:講談社の紹介文より)
エピローグからはじまるのもまたユニークな本作。1992年の刊行以来、ずっとミステリマニアから30年の時を超えても高評価。これはもう間違いない面白さです。壮大に騙されていただきたいです!
■『ハサミ男』殊能 将之 著
美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作! 【2005年公開映画「ハサミ男」原作】(講談社文庫)
連続美少女殺人鬼、通称・ハサミ男の正体は
鋭利に磨かれたハサミを死体の首につきたてる殺人鬼。通称・ハサミ男がねらった美少女が殺された。しかも、ハサミ男の手口で――。圧倒的知力に満ちた傑作長編。(出版元:講談社の紹介文より)
これももう完全に騙されましたねぇ〜(笑)
タイトルからして秀逸です。
敢えて書かない・説明しない
小説は字面があってはじめて物語が展開していきます。
そして作家さんは、不要な文は一切書きません。
読み手が理解しやすいよう、疲弊してしまわないよう、考えられて構成されています。
ですが、「書いても良いことを敢えて書かない・説明しない」ことがあります。
抽象的な説明でごめんなさいなんですが、
物語として完結するから書かなくても良いんだけど、書いたらお話が盛り上がるであろうこと、
を、敢えて書かない
という技法です。
正確には、敢えて書かなかったことを、物語の最後に書くことでどんでん返しを演出するーーー
読者は最後まで読むことで、その前までに展開されていたお話に対して、
「あぁ〜、あれはそういうコトだったのね。。。」と感嘆と余韻が残ることになります。
これもまた心地よい裏切りです。
これも2作品どちらも青山 美智子さん作品を挙げさせてもらいますね。
■『赤と青とエスキース』 青山 美智子 著
「2022本屋大賞」ノミネート作品『赤と青とエスキース』。
2021年本屋大賞2位『お探し物は図書室まで』の著者青山美智子の、新境地にして勝負作!メルボルンの若手画家が描いた1枚の「絵画(エスキース)」。 日本へ渡って30数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。 2度読み必至!仕掛けに満ちた傑作連作短篇。
●プロローグ
●一章 金魚とカワセミ メルボルンに留学中の女子大生・レイは、現地に住む日系人・ブーと恋に落ちる。彼らは「期間限定の恋人」として付き合い始めるが……。
●二章 東京タワーとアーツ・センター 30歳の額職人・空知は、淡々と仕事をこなす毎日に迷いを感じていた。そんなとき、「エスキース」というタイトルの絵画に出会い……。
●三章 トマトジュースとバタフライピー 漫画家タカシマの、かつてのアシスタント・砂川が、「ウルトラ・マンガ大賞」を受賞した。雑誌の対談企画のため、二人は久しぶりに顔を合わせるが……。
●四章 赤鬼と青鬼 パニック障害が発症し休暇をとることになった51歳の茜。そんなとき、元恋人の蒼から連絡がきて……。
●エピローグ 水彩画の大家であるジャック・ジャクソンの元に、20代の頃に描き、手放したある絵画が戻ってきて……。(出版元:PHP研究所の紹介文より)
青山さんの作品って読んでてほんと、心が豊かになるなぁ〜という作品ばかりです。
読み急がず、じっくり読んでほしいなぁ〜味わって心の動きを堪能してもらいたいです。
一章のレイ、四章の茜は女性なんですが、臆病さや焦燥感だったり、ホッとした思いだったりが男性のワタシにもしっかりと伝わってきて色々と感慨深い作品であり、
最後のエピローグで「敢えて書かない」が明らかにされた時の驚きと感動はもうたまらないです。
是非、是非、読んでみてくださいね!
■『人魚が逃げた』
この作品の魅力はこちらのエントリーでめいいっぱい紹介させてもらっています。
是非参考にしてくださいね!
小説だからこその性別・年代バラバラの登場人物達に寄り添えて、最後のどんでん返し。。。
こちらも心豊かになる1冊です!
小説を読むメリット:自分の内側できるイメージを体感できること

エントリーも長くなってきたので、まとめていきます!
ウチセカ的、小説読むことの素晴らしいポイントをご紹介します。
- 動画では味わえない、深い感情の揺さぶりを追体験できる
- 仮想現実の中にいるも同じ、現実ではない異世界を体験させてくれる
- 色んな人々の心情に寄り添い、自分の心も豊かになり人間的成長につながる
- 人生の待ち時間がなくなる(※説明します)
最後に侮れないメリットを1つ「待ち時間がなくなる」のはこれ、かなり有益ですよ!
小説はすぐには読み終われませんので、ちょっとずつ読み、の繰り返しです。
だから誰かとの待ち合わせなんかなどは、
「よっしゃー!本が読める!」
とむしろ待ち時間を望んでいる自分がいます。人生が有益です、人生に暇なし、です(笑)
小説を読む意味・意義とは、自分の心を豊かにすること
最後に、小説の素晴らしさを語らせてもらいました。
小説は随分前から大衆文学として存在しており、今なおその存在は揺るぎないものです。
勿論出版業界が厳しい、動画コンテンツの台頭、といったところも否めませんが、
それでも小説は重要なコンテンツです。それは今までご説明した通りです。
どうか、これを読んでくださるアナタのそばには、素晴らしい一冊がありますように。
主人公たちとともに心の成長をし、また気軽に肩ひじ張らずに楽しみ、人生を豊かにしていきましょう!
とでかいこと言いつつも
結局は、楽しいから読む、本当はそのシンプルに尽きるんですけどね。(笑)
参考
ソシオロゴス 18号 (1994年10月発行)
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